対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
日中の気温差が大きくなり、体調を整えることが難しくなってきていますね。
でも、夜は過ごしやすくなってきたので、少し考える時間ができたように感じます。
「事業承継=未来づくり」──親子で“会社の20年後”を語る日をつくろう
💬 「引き継ぐ」より「一緒につくる」──それが新しい承継のかたち。
ある親子の20年後会議
兵庫県で建設業を営む山田社長(62)は、創業40年を迎えたある日、息子の翔太さん(35)にこう話しかけました。
「なあ翔太、うちの会社、20年後どうなってると思う?」
突然の質問に、翔太さんは驚きながらも、少し考えて答えました。
「うーん…ドローンとかAIがもっと進んで、現場も今より安全になってると思う。
でも、一番変わらないのは“信頼される仕事”を続けてることじゃないかな。」
社長はうなずきながら笑いました。
「そうやな。お客様の“ありがとう”が続いてるなら、それが一番や。」
その日をきっかけに、親子は会社の20年後を語る”未来会議”を月に一度開くようになりました。
喫茶店でコーヒーを飲みながら、理想の未来を描く時間。
2人の会話はやがて、事業経営計画のヒントになっていったのです。
未来を語ることが、今を強くする
「20年後なんて、先の話だ」と思うかもしれません。
でも、未来を語ることは、今を見つめ直すことでもあります。Meta(元Facebook)という会社は20年で創業から世界の巨大IT企業に成長しました。20年あれば経営者の夢を実現できるのです。
数字や売上の話ではなく、
「どんなお客様に喜ばれていたいか」
「社員がどんな表情で働いているか」
そんな“理想の情景”を描くことで、経営の軸がはっきりしてきます。
山田社長も、20年後を語るうちに気づきました。
「結局、うちの会社は“人を育てる会社”でありたい」――と。
その気づきが、若手社員への教育方針を変えるきっかけになったのです。
対話のきっかけは、小さな質問から
未来を語る対話は、難しい会議ではありません。
日常の中の、ちょっとした問いかけから始まります。
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「もし、20年後に新入社員が入ってきたら、どんな会社に迎えたい?」
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「20年後、社員の家族にも誇れる会社ってどんな姿?」
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「お客様から“変わらないね”と言われたいことは?」
こうした会話を重ねるうちに、親と子、経営者と後継者の心が近づいていきます。
未来を語ることは、信頼を積み重ねる時間でもあるのです。
女性後継者が変える“会社の未来像”
翔太さんの妹・美咲さん(33)は、営業部で活躍中。
「私も参加していい?」とミーティングに加わるようになりました。
彼女の一言が、会社の未来を動かしました。
「女性社員が子育てしながら働ける仕組みを作りたい。」
その提案をきっかけに、社内では柔軟な勤務制度の検討が始まりました。
20年後を見据えるとき、女性リーダーの視点は欠かせません。
多様な視点が混ざることで、会社の未来はより豊かになります。
「未来を語る家族」が強い会社をつくる
山田社長は、今でも言います。
「株や地位を渡すより、想いを一緒に語れる時間が大事やな。」
20年後を描くことは“今”を輝かせること。
事業承継は、終わりの準備ではなく、思いのバトンリレーなのです。
あなたの会社でも、家族や社員と「20年後」を語る時間をつくってみませんか?
そこから始まる未来が、きっとあります。
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