対話のチカラで事業承継を支援する承継対話支援士の鹿島清人です。
僕が事業承継で関わっている企業は、社長が毎月全国の営業所を回り、社長朝礼というものを長年やっています。
先代の社長時代から数十年継続しているということで、見学する機会を設けていただくことができました。
社長のお話では、先代の社長(会長)から「毎月、社長として全営業所を回り、自分の言葉で従業員に語りかけるように」と引き継ぎがあったそうです。
従業員に会社の方針や、足許の業績、今月は何をしなければいけないのかなどを90分程度かけてアツっぽく語られていました。
従業員もこの朝礼は大切な場だとよく理解されているようで、社長の発言やホワイトボードに書いた内容を熱心にメモしていました。
社長は月のうち2週間近くかけて全営業所を回り、同じように90分近くの時間をかけて従業員とのコミュニケーションを取っているそうです。
これを毎月30年以上続けているって凄くないですか?
ご存知でしたか、「いい会社」と言われている企業には朝礼を積極的に活用している企業が少なくないんです。
事業承継と朝礼というテーマでブログを書いてみました。
事業承継を成功させるための朝礼の効果:
事業承継を円滑に進めるためには、単に後継者を決めるだけでは不十分です。
その後継者を支える従業員が、企業の方向性を理解し、結束し、安心して働ける環境を整えることが重要です。
特に中小企業では、従業員間の連携が事業の成功に直結するため、コミュニケーションの改善は欠かせません。
その具体的な手法として、朝礼を効果的に活用することが挙げられます。
朝礼を通じて従業員間のコミュニケーションを活性化し、心理的安全性を高めることで、事業承継を成功に導く環境を構築することが可能です。
1. 朝礼がもたらす心理的安全性の向上:
心理的安全性とは、失敗や意見交換が許容される職場環境のことで、これが確保されると、従業員が安心して自己表現できるようになります。
朝礼を通じて、日々の業務目標や会社の方向性を共有することで、全員が同じ目標を目指しているという一体感が生まれます。
また、従業員が順番に発言する機会を設けることで、互いの考えを知り、信頼関係が深まります。
特に、その人柄がわかるようなトピックは聞いていてホッとします。
このような環境では、後継者が新しいアイデアや方針を提案した際も、従業員は前向きに受け入れやすくなるのです。
2. 従業員のエンゲージメント向上:
朝礼では、従業員の功績や成功事例を共有することで、個々の貢献が認められる場となります。
これにより、従業員は自分が会社の重要な一員であると実感し、エンゲージメントが高まります。
特に事業承継の過程では、後継者の存在を支える従業員の士気が重要です。
従業員に対して上から目線で話をするだけだと、従業員は大抵、俯いています。
朝礼を活用して後継者が直接感謝の言葉を伝える場を設けることで、従業員は後継者に対する信頼感を深め、組織全体のモチベーションが向上します。
3. 情報共有と問題解決の促進:
事業承継の際には、新しいリーダーシップに伴う変化が避けられません。
これが従業員に不安をもたらす場合もありますが、朝礼を通じて会社の現状や今後の方針を継続的に共有することで、こうした不安を和らげることが可能です。
また、朝礼で小さな課題を取り上げ、従業員同士で意見を出し合う習慣をつけると、現場の課題が迅速に解決されやすくなります。
この積み重ねが、後継者と従業員との間の信頼関係構築にもつながります。
4. 離職率の低下と組織の安定化:
事業承継の成功には、優秀な従業員の流出を防ぎ、組織を安定化させることが不可欠です。
心理的安全性が確保された職場では、従業員は自らの役割に対する責任感を持ちつつも、気軽に相談や意見を交換できるため、働きやすい環境が整います。
朝礼を通じた定期的なコミュニケーションの機会が、従業員の不満や悩みを早期に察知し、対応するきっかけを提供します。
これにより離職率が低下し、事業承継期における貴重な人材の確保が可能になります。
まとめ:
事業承継の成功には、後継者と従業員の信頼関係、組織全体の結束、そして従業員一人ひとりが安心して働ける環境が必要です。
朝礼はそのための非常に効果的なツールであり、心理的安全性を高め、エンゲージメントを向上させ、情報共有と問題解決を促進し、結果として離職率を低下させる力を持っています。
業績好調な中小企業が朝礼を積極的に活用している背景には、こうした効果があるのです。事業承継を円滑に進めるためにも、朝礼の持つ可能性を最大限に活かすことが重要といえるでしょう。
経営者や後継者が日頃から従業員に感謝の言葉を伝え声をかけるといった、一見地道な行動が信頼関係につながり、結果的に後継者を支える体制が整い、事業承継がうまくいくのだと思っています。
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