【短冊に願いをこめて 七夕と事業承継】

対話のチカラで事業承継を支援する専門家『承継対話支援士®』の鹿島です。

先日、ある会合でお話をする機会をいただきました。

参加者は、30代・40代の製造業の若手経営者や後継者でした。

ここ数年で事業承継した人や、数年以内に事業承継を受ける予定の方です。

セミナー後の懇親会では、事業承継される前と、された後の話なども伺うことができました。

参加者全員が親族内承継ということもあり、子供の頃から事業承継を意識していた方もいれば、継ぐ予定はなかったが、様々な経緯で継ぐことになったなど事情はさまざまですね。

7月で七夕も近い頃から、七夕と事業承継をテーマにしてみました。

短冊に願いをこめて 〜お父さんの会社をつぎたい?〜

7月7日は七夕(たなばた)。夜空を見上げて、彦星と織姫が出会える日と言われています。保育園や小学校では、笹にカラフルな短冊を飾り、「プロ野球選手になりたい」「プリンセスになれますように」など、子どもたちの願いが風に揺れています。

ある小学生の男の子が、七夕の日にこんな願い事を書きました。

「お父さんの会社をつぎたい。」

父親は部品メーカーを経営しており、毎日忙しく現場や打ち合わせに飛び回っています。そんな父の背中を見て育った彼は、「いつか自分も会社をまかされる日が来るのかな…」と、ぼんやり考えていたそうです。

短冊を見たお父さんは、一瞬笑いました。

「そんな簡単なもんじゃないぞ」と。

でも、その夜、いつになく真剣な顔でこう言いました。

「お前、本気でそう思ってるのか?」

「うん。でも、何から始めたらいいのか分からない。」

それが、家族で初めて“事業承継”の話をするきっかけになりました。

この話には続きがあります。
数日後、お父さんは息子を連れて会社に行きました。現場を見せ、社員に紹介し、仕事の話を少しずつ語るようになりました。
息子は学校の勉強と両立しながら、夏休みに事務所の手伝いを始めました。
「将来のことはまだ分からない。でも、やってみたいと思ったときがチャンスかもしれない。」
父もまた、そう思うようになったのです。

事業承継とは、会社の未来を誰かに託すこと。
それは、社長が一人で考えるものではなく、家族や社員と一緒に話し合って進めていくものです。
「今はまだ早い」と思っていても、子どもがどんな思いを持っているかを知ることは、大きな一歩になります。
事業承継、特に、親族内承継をしたいのであれば、子どもが小さいうちから親の仕事の話を聞かせたり、職場に連れて行くことはとても有効です。ある種の刷り込みといってもいいかもしれません。
子どもが本当に後を継いでくれるのかどうかは、親には決められません。あくまでも、『子どもが決めること』です。親にできることは、「継いで欲しい」という親の思いを伝えることです。

七夕の願いごとに、未来のヒントがあるかもしれません。

願いは、書くだけじゃ叶いません。
けれど、その一言が、対話のきっかけになるなら、それはもう立派な第一歩。

今年の七夕、皆さんはどんな願いを短冊に書きますか?

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