【株価評価の大改革?「残余利益方式」の影響は】

対話のチカラで事業承継を支援する「承継対話支援士®」の鹿島です。

4月から国税庁の有識者会議で取引相場のない株式(中小企業の株式)の評価の見直しが議論されていることは以前にもお伝えしましたが、9月の会議である程度の方向性が見えてきました。

【株価評価の大改革?】国税庁「第6回有識者会議」に見る「残余利益方式」導入のインパクトと支援者のチャンス

「事業承継支援に関心はあるけれど、株価評価や税務の専門的な話になると一歩踏み出せない……」そんな悩みを抱えていませんか?
実は今、国税庁の「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第6回)」において、非上場株式の評価体系を根本から見直す大きな議論が進んでいます。その中核となるのが**「残余利益方式(残余利益モデル)」**の導入です
この税務評価の大改革は、単なる計算ルールの変更にとどまらず、士業や金融機関職員が事業承継支援に踏み出す大きな追い風になります。今回は、第6回会議のポイントと、支援者が押さえておくべき視点を分かりやすく解説します。

■ なぜ今、評価方法の見直しが進んでいるのか?

現行の評価制度で広く使われている「類似業種比準方式」には、学術的な理論根拠や実証的裏付けがなく、大会社ほど株価が相対的に低く評価されるなど、規模間の不公平が指摘されていました
そこで、学術的・理論的根拠を持つ「残余利益モデル」をベースに、税務評価としての画一性・簡便性・安全性を考慮した新たな評価方法への見直し案が提示されたのです

■ 第6回有識者会議で示された主な検討論点

第6回会議資料では、残余利益方式の具体的なフレームワークとして以下のポイントが議論されています
  1. 法人税申告書をベースに算定:企業が採用する会計基準の違いによる差をなくし、課税の公平性を保つため、法人税法(法人税申告書)に基づく数値を使用します
  2. 加算期間は5年程度としTVは加算しない:理論上は将来の無限期間の利益を予測しますが、実務上の精度と画一性を担保するため、直近実績から予測する残余利益の加算期間を5年程度とし、ターミナルバリュー(TV)は加算しない方向で検討されています
  3. 利益操作への補正(正常利益の算出):過去の利益にオペレーティングリースや一時的な役員退職金などの非経常的損益が含まれる場合、これらを補正して会社の「正常利益」を算出します
なお、この方式を適用した国税庁の試算では、小会社において現行の評価額より株価が下がる企業が約7〜8割(斟酌率0.7〜0.8の場合)にのぼるというデータも示されています

■ 支援に踏み切れない士業・金融機関職員にとってのチャンス

「難しそうな税務理論」に見えるかもしれませんが、本質は「企業の将来の稼ぐ力(残余利益)」に着目する点にあります
株価評価の軸足が「過去の蓄積(純資産)」から「これからの稼ぐ力」や「正常な収益性」へとシフトすることで、税理士だけでなく、中小企業診断士、行政書士、社労士、金融機関職員が活躍できる領域が広がります
  • 経営改善・収益力向上のアドバイスが直接株価や承継計画に影響を与える
  • 役員報酬や組織体制など**「正常な経営状態」をつくるための対話支援**が求められる
「制度が変わる・見直されるタイミング」は、経営者に「社長、新しい株価評価の動きについてご存じですか?」と話題を切り出す絶好の機会です。

■ おわりに

高度な税務計算を完璧にこなす必要はありません。
「将来の収益性をベースにした評価へ変わろうとしている」というトレンドを押さえ、経営者と後継者が将来の事業について話し合うきっかけを作ることこそが、支援者の第一歩です。
制度の転換期である今こそ、一歩を踏み出して経営者の伴走者になってみませんか?
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