対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
最近、事業承継のお話をする際に、国税庁の有識者会議で行われている「取引相場のない株式の評価」について尋ねられることが増えました。
まだ、結論が出ていないので何とも言えませんが、巷の噂では、利益が出ている中小企業の株価評価が今よりも高くなるのでは、と言われています。株式の評価は高くてもいいのですが、事業承継がスムーズに進むような税制の見直しも同時並行で進むといいなぁと願っています。
さて、今回は、前回の顧客紹介の続編的なないようです。
利益相反を防ぐ、顧客支援と専門家紹介の進め方
中小企業の経営相談では、弁護士や税理士、中小企業診断士などの専門家を紹介したり、金融機関が支援先をつないだりする場面があります。その際に確認したいのが「利益相反」です。
これは、ある顧客を支援すると、別の顧客や支援者自身の利益とぶつかり、公平な助言や秘密の管理が難しくなる状態をいいます。
前職の銀行員時代は、この利益相反に該当する取引ではないかの確認をとても厳格に確認していました。この確認で手を抜くと、後々大きな問題になりかねないので、とても気を遣っていましたよ。
最初に確認すること
詳しい事情や資料を渡す前に、次の項目を整理します。
- 誰が依頼者か。会社なのか、代表者個人なのか、親会社・子会社も含むのか
- 相手方や関係者は誰か。取引先、競合、金融機関、株主、役員、従業員、元従業員など
- 紹介先が、相手方や関係者を現在または過去に支援していないか
- 紹介料、出資、役員兼任、親族関係など、専門家自身の利害がないか
- どの業務を依頼するのか。一般相談なのか、交渉、訴訟、M&A、内部調査なのか
会社の相談では、代表者が話していても依頼者は会社だけという場合があります。
代表者個人や役員、従業員まで自動的に守られるわけではありません。依頼者の範囲を先に決めると、後の行き違いを防げます。
確認の進め方と伝え方
まず、会社名・個人名・旧商号・関係会社名・相手方名と、相談分野だけを紹介先に伝え、「利益相反の確認が終わるまで詳細資料は送らない」と決めます。
顧客には、次のように説明すると伝わりやすくなります。
「双方の秘密を守り、公平に対応できるか確認するため、詳しい相談の前に関係者のお名前を確認しています。確認が済むまでは、契約書や社内事情などの詳細資料はお預かりしません。もし対応できない場合は、別の専門家をご案内します。」
なんだか堅苦しいなぁと思われるかもしれませんが、紹介料などがある場合は、金額や支払者、紹介先を選んだ理由を説明し、顧客が他の候補と比較できるようにします。
ほかの顧客の秘密は開示せず、説明した内容と顧客の意向を記録します。
問題が見つかった場合
結果は「問題なし」「追加確認が必要」「同意や条件整理が必要」「紹介・受任できない」に分けて記録します。
問題があるときは、詳しい資料の共有や紹介手続きを止め、紹介先の責任者、所属団体の窓口、金融機関のコンプライアンス担当などに確認します。
担当者やチームを分ける、情報へのアクセスを制限する方法が使える場合もありますが、それだけで解決するとは限りません。同意があっても、法令や職務規程により対応できない場合があります。
受任後に新しい相手方や関係会社が判明した場合も、再確認が必要です。すでに資料を渡していれば、誰が閲覧したか、どこに保管されているか、返還・削除や引継ぎをどう行うかを確認します。利益相反チェックは形式的な手続ではなく、「誰を支援し、誰の情報を扱うのか」を明確にするための実務上の境界線です。
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