対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
世の中は3連休ですね。この連休は天候もよく、各地でさまざまなイベントが開催されたようですね。
私は、諸事情から、スマホが使えず、久しぶりにスマホを持ち歩かない時間を過ごしました。
さて、今回のトピックは、コンサルや士業あるあるです。
「先生、ついでにこれも」に迷わないための業務区分表
面談が終わりかけた頃、顧問先からこんな一言を聞くことがあります。
「先生、ついでに社員の退職のことも聞いていいですか?」
頼ってもらえるのはうれしい一方で、「これは顧問料の範囲?」「別料金?」「そもそも自分の専門分野?」と迷う場面です。金融機関の職員も、融資相談の途中で相続、労務、補助金の相談を受けることがあります。
相談者から見れば、どれも一つの経営課題です。しかし、相談を受ける側の契約範囲や資格、責任まで同じとは限りません。顧問契約は、一般に成果物の完成ではなく、継続的な相談・助言を目的とする準委任契約として設計されます。だからこそ、「何を、どこまで、誰が対応するか」を見える形にしておく必要があります。
まずは相談を4つに分ける
業務区分表は、次の4分類から始めると使いやすくなります。
| 区分 | 判断の目安 | 次の対応 |
|---|---|---|
| 契約内業務 | 顧問契約の対象で、時間・件数の範囲内 | 回答期限を伝えて対応する |
| 追加受任 | 自所で扱えるが、作業量・専門性・責任が大きい | 業務内容、納期、報酬を見積もる |
| 他士業紹介 | 資格業務または専門領域が異なる | 本人の同意を得て専門家へつなぐ |
| 初回相談 | 相談内容や必要な支援がまだ整理されていない | 聞き取り後に3区分へ振り分ける |
たとえば「契約書を見てください」という依頼でも、短時間の確認なら契約内、条文の全面改定や相手方との交渉まで含むなら追加受任になり得ます。メールや電話で届いたかどうかではなく、調査時間、成果物、外部対応の有無で判断します。
実務での使い方は3ステップ
第一に、相談を受けたらすぐに結論を出さず、「誰の、どの問題か」を確認します。会社の相談なのか、代表者個人や役員の相談なのかで、契約対象や利益相反の確認が変わります。
第二に、必要な作業を分解します。口頭での助言だけなのか、書類作成、申請、交渉、調査まで必要なのかを整理します。
第三に、区分と次の対応を記録します。受付日、相談者、相談内容、契約区分、担当者、回答期限、費用説明を残しておくと、担当者による対応のばらつきを抑えられます。契約書には業務範囲、顧問料、別料金、実費、契約期間などを具体的に記載しておくと、後からの行き違いを減らせます。
会話例1|士業事務所で追加受任へ切り替える
顧問先「就業規則の変更も、ついでにお願いできますよね?」
担当者「変更内容のご相談や方向性の整理は顧問契約内で対応できます。ただ、条文の改定や届出まで行う場合は、通常の相談より作業時間が必要です。追加受任として、対象範囲と費用を先にお見積りしますね。」
「別料金です」とだけ伝えるのではなく、顧問料に含まれる部分と、追加になる作業を分けて説明するのがコツです。顧問先割引を設定する場合も、通常料金と値引きを分けて表示すると、業務の価値を保ちやすくなります。
会話例2|専門外の相談を他士業へつなぐ
顧問先「問題のある社員を解雇したいのですが、どう進めればいいですか?」
税理士「税務への影響は当所で確認できますが、解雇手続や労使トラブルへの対応は、社労士または弁護士に確認した方が安全です。ご同意いただければ、まず相談内容を整理して、対応できる専門家をご紹介します。」
紹介は「専門外なので終わり」ではありません。本人の同意を得て、共有する資料を限定し、紹介先で確認してほしい論点を整理します。税務、労務、法務が関係する場合は、それぞれの担当範囲を明示すると、相談者も次に何をすればよいか分かります。
会話例3|金融機関で初回相談に切り替える
経営者「息子に会社を継がせたいのですが、何から始めればいいですか?」
担当者「株式の承継、代表者の交代、借入の引継ぎなど、いくつか論点がありそうです。まず初回相談としてご希望と時期を整理し、必要な専門家と確認事項をご案内します。資料を共有する場合は、範囲を確認してから進めます。」
金融機関職員がその場で専門的な結論を出すのではなく、論点整理と適切な専門家への接続に徹する設計です。初回相談は、相談者を選別するためではなく、必要な支援を見つけるための入口になります。
区分表に加えたい3つの欄
運用を安定させるには、4分類に加えて次の項目も入れておくと便利です。
- 対象者:法人、代表者、役員、従業員、子会社の誰か
- 費用移行条件:何時間、何件、どの作業から追加受任になるか
- 対応期限:通常回答、急ぎ対応、休日対応の扱い
「相談は無料」「顧問料に含む」といった曖昧な表現だけでは、実際の作業範囲が伝わりません。月間時間、レビュー件数、ページ数、正式文書の作成、外部交渉の有無など、判断できる基準に置き換えます。24
「ついで相談」は、信頼されているからこそ生まれます。その信頼に応える方法は、何でも抱え込むことではありません。相談を受け止め、適切な区分へ案内し、必要なら別の専門家へつなぐことです。
業務区分表は、請求のためだけの表ではありません。相談者が迷わず次の一歩へ進むための、事務所と金融機関の共通言語です。
『対話のチカラで事業承継を支援したいと思う方は、承継対話支援士®養成講座の説明会にご参加ください。』
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