対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
暑くなりましたね。今年、ついに日傘デビューしました。
直射日光を防げる分だけ涼しく感じると言っても、やはり暑いです。
全東信という決済代行サービスを提供している企業の経営破綻のニュースが世間を騒がしていますね。
大阪市内でも、「クレジットカードが使えません」という貼紙をしてる店がいくつもあります。
資金力がない中小零細事業者に影響が出そうですね。
さて、事業承継の支援をしていると、後継者に譲りたくないものとして『個人保証』という話をよく聞きます。
目次
保証の話を揉めずに進める「選択肢提示」——承継期に一番デリケートな論点の扱い方
【ケース(あるある)】
株式や役員体制の話は進みかけたのに、最後に必ず空気が重くなるテーマがあります。それが「個人保証」。
後継者は内心「保証は背負いたくない」。
社長は「自分が外れると銀行が嫌がるのでは」と不安。
金融機関は「法人個人一体で融資の判断をしているので、簡単に外すつもりはない」と冷ややか。
この三者の前提が噛み合わないまま「保証は外せますか?」と直球で聞くと、たいてい揉めます。
ここで支援者がすべきことは、誰かを説得することではありません。
保証の議論を“覚悟”ではなく“設計”に変えること。鍵になるのが、選択肢の提示です。
平成25年12月に経営者保証に関するガイドラインが公表されました。
個人保証なしでも融資を受けられるようになるには、以下の状態にすることが前提となります。
① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離
② 財務基盤の強化
③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
ものすごく簡単に言うと、
①法人と個人の金の流れが分離している(どんぶり勘定ではない)
②会社の借入金は、会社のCFで返済できる
③決算書・試算表などの経営情報をいつでも提出できるようにしておく
中小企業の中で、①~③を完全にできていると感じる企業は半分くらいかもしれません。
なぜ保証の話は揉めるのか
揉める理由は、当事者が「Yes/No」で答えさせられる構図になるからです。
- 後継者:Yesと言えば人生を縛られる
- 社長:Noと言えば承継が止まる
- 銀行:Yesがないと内部説明が通りにくい
この構図のままだと、沈黙か対立になります。
今週の1スキル:「結論」より先に“選択肢の地図”を作る
面談の冒頭で、支援者がこう置きます。
冒頭フレーズ(そのまま使えます)
「今日は保証を“背負う/背負わない”の二択で決めません。選択肢と条件を整理して、何が揃えば次に進めるかを確認しましょう。」
次に、選択肢を3層で並べます(ここでは制度論に深入りしません)。
- 現状:いま誰の保証で、担保や条件はどうなっているか
- 移行期:代表交代の前後で、保証の扱いをどう段階移行するか(期限を置く)
- 目指す姿:承継後の保証の形(要否・範囲・期間)と、銀行が安心する材料
この整理ができると、話が「感情」から「条件」に移ります。
金融機関側も論点が整理でき、社長・後継者も“宿題”を持ち帰れます。
会社がきちんと返済を続ける限り、金融機関が保証人に保証履行を迫るようなことはありません。
保証を引き継ぐにしても、保証無しで引き継ぐにしても、会社の収益力高めるということに変わりはありませんね。
テンプレ:保証を揉めずに進める「選択肢提示メモ」
- 現状:保証___/担保___/返済条件の特徴___
- 目指す姿(承継後):____
- 移行期の選択肢(期限付き):
A____(期限:_)/B____(期限:_)/C____(期限:_) - 銀行が安心する材料(出せるものに○):
月次試算表・資金繰り表・事業承継計画書・決裁体制(案件別)・投資計画・面談同席者(社長/後継者/幹部) - 次回までの宿題(1つ):____(担当:_/期限:_)
まとめ:保証は「結論」ではなく“対話設計”で進む
保証の話は、正解を押し付けるほど壊れます。
二択にせず、選択肢を並べ、条件を言語化し、期限を置く。これだけで三者が同じテーブルに座れるようになります。
【今週の宿題】
次の面談で冒頭フレーズを言ってください。
「二択で決めない。選択肢と条件を整理する。」
揉めない保証議論のスタートになります。
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