対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
初めて島根県に行きました。
TBSの「VIVANT」とのコラボ企画や、商品をたくさん目にする機会がありましたよ。
さて、旧暦10月(今の10月後半から12月頃)、全国から八百万の神々が集う「神在月(かみありづき)」を迎える島根県は、古くから「神話の国」として知られています。神々が出雲の地に集い話し合うのは、人々の目に見えない「ご縁」についてだと言われています。
この出雲大社には、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が国土を譲り渡した日本最古の引き継ぎ劇である「国譲り」の神話や、幾千年の時を超えて社殿と伝統を受け継ぐ「御遷宮」の歴史が息づいています。
千年以上にもわたり大切なバトンを渡してきた島根の歴史は、現代の中小企業が直面する「事業承継の大切さと難しさ」、そして支援者の役割について深い教えを与えてくれます。
■ 「国譲り」にみる、ハードとソフトの承継と対話
日本神話における「国譲り」は、単なる権力や土地(目に見えるハード面)の明け渡しではありませんでした。大国主大神は、目に見える国土の統治を譲る一方で、目に見えない「ご縁や神事(ソフト面)」を司る役割を担い、出雲大社に祀られることで互いの納得と調和を図ったのです。
現代の事業承継もまったく同じです。株式や資産、代表権(ハード面)をどれだけスムーズに引き継いでも、「創業の精神」や「顧客・地域との信頼関係(ソフト面)」が渡らなければ、企業は存続できません。
現在、日本で年間7万件もの企業が後継者不在で廃業し、その半数が黒字経営である現状があります。1,000件以上の現場を見てわかった本当の問題は、税務や法務といった手続き以前の「経営者と後継者が本音で話し合えていないこと」にあります。
親子の遠慮や長年の関係性が邪魔をして「話したいのに話せない」という葛藤を解きほぐし、双方が納得できる対話の場を創ることこそが、承継成功の第一歩なのです。
■ 千年続く「御遷宮」と、次世代への「最強の投資」
出雲大社で定期的に行われる「御遷宮」は、社殿を修造・新築し御神体を遷す壮大な神事です。これは単なる修繕作業ではなく、建築技術や文化、精神性を絶やすことなく次世代へ受け継ぐための「持続可能なバトンタッチの仕組み」でもあります。
事業承継も同様に、単なる「社長の引退準備」や「義務」として捉えるべきではありません。会社の強みや伝統を守りながらも、新たな時代に合わせて組織を更新し、「次世代への最強の投資」**として会社を活性化させるポジティブな機会なのです。
単に事業を「引き継ぐ」だけでなく、新しい世代のもとで「花咲かせる」視点を持つことで、経営者も後継者も前向きに未来を語れるようになります。
■ 支援者は現代の「ご縁結び」であり「全体の指揮者」
では、士業や金融機関職員、経営指導員といった支援者はどう立ち回ればよいのでしょうか。
税理士や行政書士、社労士、中小企業診断士などの各専門家は、それぞれ専門分野の問題解決に長けています。しかし、事業承継で本当に求められるのは、専門知識を提示するだけでなく、経営者と後継者の間に入って本音を引き出し、全体を調和させる「全体の指揮者」としての役割です。
八百万の神々が対話を通じてご縁を結ぶように、支援者が「対話を促すコツ」を用いて問いかけ、両者の納得感をつくることで、5年〜10年かかる長期の承継プロジェクトを円滑に伴走できるようになります。
■ おわりに
高度な専門知識をすべて完璧に備える必要はありません。大切なのは、経営者と後継者が「本音で将来を語り合える場」を創り出すことです。
出雲の歴史が教えてくれる「対話」と「ご縁」の力を味方につけ、地域企業の未来を支える「対話の指揮者」として第一歩を踏み出してみませんか?
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