対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
最近、国税庁の有識者会議で中小企業の事業承継に大きな影響を与えそうなテーマが話し合われているのをご存知ですか?
目次
国税庁が「非上場株式の評価」有識者会議を開始。事業承継で今から準備すべきこと
国税庁は2026年4月から、「取引相場のない株式(非上場株式)の評価」について有識者会議を始めています。背景にあるのは、現行の評価方法の“ゆがみ”が実務に影響している、という問題意識です。
議事要旨では、類似業種比準方式が評価額圧縮スキームに悪用され得ること、評価通達6項の個別対応が増えることによる納税者の予見可能性(見通し)の問題、そして「円滑な事業承継に資する評価」も踏まえるべき、という論点が挙がっています。
ここから先、「すぐ制度が変わる」と断言はできません。
ただ、経営者・支援者ともに言えるのは、評価(株価)の議論が動くほど、承継の準備不足が痛点になりやすいということです。
今からできる準備を、実務目線で整理します。
1)「承継の目的」を先に決める(相続・贈与・売買・M&A)
会議でも「評価局面(相続・売買など)に応じた評価」を意識すべき、という趣旨の意見が出ています。
支援の現場でも、ここが曖昧だと株価の議論が迷子になります。
まずは当事者の対話で「いつ/誰に/何の形で」を仮置きしてください。
2)株主構成・種類株式・議決権を“棚卸し”する
評価額圧縮を狙ったスキーム(株主構成の操作、種類株式の濫用など)が問題視されています。
経営者は「うちは関係ない」と思いがちですが、過去の経緯で株が分散している会社ほど、後で整理コストが跳ねます。
支援者は株主名簿・議決権・株式の種類を一度見える化しておくのが安全です。
3)純資産に効く論点(不動産・引当・退職給付)を把握する
有識者会議では、純資産価額方式の長所・課題(引当の扱い、営業権の扱い等)も議論されています。
制度がどう寄るにせよ、資産・負債の中身を説明できる状態が重要です。
とくに不動産、役員退職金・退職給付、含み損益は早めに論点化を。
4)納税資金の「山」を先に作る(退職金・株式・納税)
制度見直しの議論が出るほど、経営者の不安は「結局いくら?」に寄ります。金額の確定より先に、
- 退職金:有/無/未定
- 株式の対価(買取等):有/無/未定
- 納税:有/無/未定
を時期とセットで整理しておくと、金融機関・士業との対話が前に進みます。
5)「評価の話が出ても揉めない」合意形成を用意する
株価がテーマになると、親族間・幹部間で感情が動きます。
評価制度がどう変わるか以上に、決め方が壊れることが最大のリスクです。
支援者は、結論を急がず「論点と順番を揃える場」を設計してください。
制度は議論中でも、準備は今日からできます。
経営者の方は「株価の前に、株主と目的を整える」。
支援者の方は「評価の前に、対話と棚卸しを整える」。
この順番が、どんな制度変更にも強い承継準備になります。
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